NTTドコモは5月25日より新料金プラン「ベーシックシェアパック」と「ベーシックパック」を提供すると発表した。同プランの特徴は、データの利用量によって料金が4段階に変化する段階制料金となっており、KDDI(au)が2017年夏より導入している5段階の「ピッタリプラン」のドコモ版といった感じだ。
今回は、両社の段階制定額料金プランについて比較していきたい。
まずNTTドコモがKDDI(au)に追随してまで新料金プランを導入してきた背景について考えたい。そもそもKDDI(au)は新料金プラン導入以降、それまで続いていた顧客流出が抑制され解約率低下という効果を上げていた。また、総務省の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」の報告書に「過去の利用実績等に基づき利用金額が適正となる料金プランの例を利用者に案内するようMNOに要請」と記載されており、その点でも段階制定額料金プランは満額回答と呼べる建て付けとなっていた。
NTTドコモでは、新料金プランの導入にあたり当初300億円程度の減収を見込んでいるとしているが、中長期的にはアップセル効果も期待できるとして、プラス反転を見込んでいる。
両社の新料金プランの内容の違いだが、パケット容量ではKDDI(au)には2GBがあるのに対して、NTTドコモにはない。NTTドコモは新料金プランを「利用が少ない人向け」と位置付けている通り、家族利用時のモデルケースで月額料金が「1980円」になるとアピールしているが、これも毎月1500円引きの「docomo with」、音声定額のない月額980円の「シンプルプラン」、長期利用者向け割引の「ずっとドコモ割プラス」を組み合わせた場合など、相変わらずの条件付きのケースとなっている。こうしたことはKDDI(au)も同様で、上記表にあるように複数の条件をクリアすれば安くなるということに変わりはない。
このように料金の単純な比較は難しいのだが、新料金プランを利用する上で付帯条件は大きく異なっている。例えば端末購入補助では「ベーシックパック」は月々サポートの対象でdポイントも付与される他、docomo withとの併用も可能だ。それに対して「auピタットプラン」は毎月割が不適用で、ポイントプログラムも従来の「マンスリーポイント」はなくなり「au STAR ロイヤル」の枠組みでの付与に限られる。KDDI(au)は4年間の割賦と下取りを組み合わせた「アップグレードプログラムEX」を同時に導入しており、こちらへの誘引を狙っている。
NTTドコモでは、今後、この新料金プランに1本化していくと説明しており、現行の「シェアパック5/10/15」「ビジネスシェアパック5/10/15」「データSパック」「データMパック」は、5月24日をもって新規申し込み受付を終了するとしている。段階制定額料金プランが今後料金プランのメインストリームとなっていくのか。具体的な反応がまだないソフトバンクの動きも含め注視していきたい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて5月11日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |