Weekend Column:

鳴りを潜める『楽天』のMNO事業

第四の携帯会社(MNO)として総務省から周波数の割当を受けた楽天だが、以前に比較するとニュースになる機会がめっきり少なくなったような印象を受ける。

2019年10月の商用化を前提に準備が進められていると推測されるが、そうなると既に色々と決めておかなくはならないことがある。

2019年10月のMNO事業開始を目指す(出典:楽天 18年度第1四半期決算説明会資料

特に、基地局や工事などのインフラ回りに関しては、他社とのローミングを行うにしろ、1年余りしか時間がなく、少なくとも現時点でインフラベンダーくらいは決まっていないと「ヤバイ」のではないかと心配してしまう。

イー・モバイルや古くはデジタルホンやツーカーにしろ、開業前は新規参入へ向けての号砲を打つという意味からも、積極的なプロモーションが行われてきたような気がする。

しかし、意識的にそうなのか、楽天の場合、それがあまり感じられず、逆に事業運営に何か問題があるのではないかと勘ぐってしまう。

携帯事業に今回挑戦する楽天にとって、ゼロからインフラを日本全国に張り巡らしていくということは大変なことである。そのため、同社には携帯大手3社から人材をかき集めているとされる。

そうした人材は、確かに経験者であるものの、しかしゼロからインフラを立ち上げた経験をしてきた人は少ないのではないだろうか。

電力会社の設備を活用しコスト削減を狙うというが。。。(出典:楽天 18年度第1四半期決算説明会資料

また、6,000億円のインフラ投資が少ないという批判を受けたが、それについても、本当にできるかどうかは別にして、実績のない楽天に何がなんでも(徹底的に安くても)取引していこうというベンダーがどのぐらいいるのだろうか。

仮にソフトバンクのようなリバースオークションで業者選定をしているのであれば、自ら手を引くところがあってもおかしくないだろうと個人的は感じる。ソフトバンクはリバースオークションを推進しすぎたことで、手痛いしっぺ返しをくらったのだ。

予定通りの商用化へ向け動き出すとするならば、最悪でも今月末くらいまでには色々と決めていかなければならないはずだ。国民共有の財産である電波の割当を受けているだけに、同社からの情報開示が待たれるところだ。

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