MCAは8月に市場調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2018年版」を発刊した。そこで今回から、レポートをもとに携帯基地局市場の動向を取り上げていきたい。まずは、モバイルキャリアの設備投資に焦点を当てる。
2017年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが5,779億円、KDDI(au)は3,061億円、ソフトバンクが2,762億円となり、UQコミュニケーションズとWireless City Planningを合わせ、合計1兆2,582億円となった。
2018年度はNTTドコモが5,700億円、KDDI(au)は3,100億円、ソフトバンクが3,300億円を見込み、UQCとWCPを合わせた投資額は合計1兆3,000億円と推定した。投資総額をみる限り、キャリア各社による投資抑制は底を打ったといえる。
ただ、設備投資の内訳をみると、様相が異なってくる。
MCAでは、設備投資を「基地局投資」「共通設備・その他」に区分しているが、NTTドコモの基地局投資に変化がみられた。2016年度をピークに基地局投資が下がり続け、2019年度を底にその後は回復する見込みである。
基地局投資の抑制は無線設備とエンジニアリング市場の縮小に直結し、最大手であるNTTドコモの基地局投資抑制は2017年度の無線機市場に大きな影響を与えている。
全体の基地局投資は3.5G/700MHz帯の影響により、KDDI(au)とソフトバンクでの投資増から、2017年度は拡大した。
今後の設備投資に関しては、NTTドコモが6,000億円未満、KDDI(au)は3,000億円超、ソフトバンクが3,000億円規模で推移するものとみられる。
さらに2019年度からは大手3社以外に、楽天モバイルネットワークも投資を開始する見込みで、投資を押し上げる要因となり、今後も1兆3,000億円を下回らない規模で推移していくものとみられる。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて8月24日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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