MCAは8月に市場調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2018年版」を発刊した。そこで前回に引き続き、レポートをもとに携帯基地局市場の動向を取り上げていく。2回目となる今回は、無線機ベンダの動向をまとめてみたい。
NTTドコモの基地局投資抑制が直撃した国内ベンダ
現在、NTTドコモには、富士通やNEC、Nokia、エリクソン・ジャパンが無線機を供給している。特に富士通やNECはKDDI(au)やソフトバンクには無線機を供給しておらず、シングルキャリア体制である。
NTTドコモは他キャリアに比べ、無線機の調達規模が大きく、NTTドコモでのシェア獲得が国内市場での地位固めにつながっている。しかし、2017年度はNTTドコモによる基地局投資抑制が進んだ結果、両社とも、大きくシェアを落とした。
アジアベンダに圧された北欧ベンダ
Nokiaは大手3社に無線機を供給している。NTTドコモ向けはシェアを微増させているが、KDDI(au)とソフトバンクで勢いを失いつつある。そのため、今後は大手3社でのシェア回復、楽天モバイルネットワークでの立ち回りに期待がかかる。
一方、エリクソン・ジャパンはKDDI(au)でサムスン電子ジャパン、ソフトバンクでは華為技術日本に圧されている。2017年度は小規模ながらも、NTTドコモへの参入を果たしており、今後は規模の大きいNTTドコモでのシェア獲得を目指す。
ソフトバンクはシェア大変動
2017年度は華為技術日本が飛躍した。ソフトバンクの3.5G/900M/700MHz帯で圧倒的なシェアを獲得し、国内6強の1社になっている。2018年度も3.5G/700MHz帯中心の1年が予想され、引き続き、華為技術日本の躍進が見込まれる。なお、サムスン電子ジャパンはKDDI(au)とUQコミュニケーションズでのシェア確立が顕著になっている。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて8月31日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
特集:携帯基地局市場と設備投資の実態 2018
- モバイルキャリアの設備投資、17年度は約1.3兆円で投資抑制に底打ち感
- 無線機ベンダシェア、国内・北欧勢の苦戦とアジア勢の拡大が鮮明に
- 17年度は3.5G/700MHz帯工事が旺盛、18年度も勢い持続の公算
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