MCAは8月に市場調査レポート「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2018年版」を発刊した。そこで今回も、レポートをもとに携帯基地局市場の動向を取り上げていく。最終回となる今回は、エンジニアリング会社(通建業者)の動向をまとめてみたい。
2017年度はキャリア各社とも、総務省への開設計画遵守のため、3.5G/700MHz帯工事が盛況であった。キャリアによる工事発注量の平準化が進んだことから、例年になく、工事進捗は良かったものとみられる。大手3社による地場系エンジニアリング会社の経営統合も発表され、エンジニアリング会社側も今後の工事需要への体制を整えている。
引き続き、2018年度も3.5G/700MHz帯工事が旺盛とみられるが、3.5GHz帯工事は最終年度となり、NTTドコモは9,600局、KDDI(au)が11,900局、ソフトバンクは13,000局と3.5GHz帯一色の1年になる見込みである。
一方、700MHz帯工事は2018年度から東名阪での工事も進められ、積極的な工事が見込まれる。キャリア各社とも、開設計画遵守を目指しているものの、NTTドコモは半年遅れ、KDDI(au)が3年遅れ、ソフトバンクは2年遅れの状況になっている。
2019年10月に楽天モバイルネットワークがサービスを開始する予定だ。大手3社であれば、エンジニアリング会社との取引関係も深いため、ネットワーク運用開始半年前からでも置局工事は間に合うものと考えられる。
楽天モバイルネットワークは新規取引になるため、1年前の2018年度下期から動き出すものとみていたが、2019年度からの着工開始とされる。サービス開始まで半年という大手3社並みの動きで、計画通りのサービス開始に不安が残る。ただ、大手キャリアとの国内ローミング契約締結が可能になれば、屋内外、地下といったエリア問題は一気に解決する問題ではある。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて9月7日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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