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携帯料金の国際比較、先月発表された総務省の最新調査結果を読み解く

総務省は19日に「電気通信サービスに係る内外価格差調査」の2017年度調査結果を発表した。東京と、ニューヨークやパリなど海外5都市(以下、諸外国)の料金プランを比較したものだ。

当コーナーでは先週、2016年度の調査結果から「通信料金は諸外国より3~4割高いが、端末代を含めれば諸外国並み」との結論を得た。今回はそのバージョンアップ版をお届けしたい。

諸外国との差が拡大した日本の通信料、最大で2倍超の開き

総務省の調査結果概要は、16年度に引き続き17年度も「東京の支払額は、2GB、5GBでは中位の水準(諸外国並みの価格)、20GBでは高い水準(諸外国より高い価格)」と結論づけている。

ただし、ここでいう東京の価格は、ソフトバンクのサブブランドであるY!mobileが採用されており、実態を正しく表しているとは言い難い。

そこで「シェアが最も高い事業者のプラン」での結果を比較してみたい。

上のグラフは、外国5都市の価格の平均値を計算し、東京の価格と比較したものだ。調査対象のなかでOrange(パリ)の価格が17年度に大きく下がったことで、相対的な東京の割高感が際立つ結果となった。

中でも5GBモデルは、5割以上引き下げてようやく諸外国並み水準になる状況である。

ちなみに、東京の価格は「通話5分以内無制限」のプランが採用される一方、諸外国で比較のため採用されているプランの多くは「通話・SMS無制限」である。条件の違いにも留意いただきたい。

また、総務省調査では、データ容量をシェアできるプランを用いて家族4人で契約した場合を想定した試算も行われているが、東京の価格が突出する傾向に変わりはなかったことも付け加えたい。

端末値引きを考慮しても日本の通信料は諸外国より割高

「日本の通信料は、端末値引き原資も含まれているから高いように見えるだけ」との意見もあるだろう。そこで、総務省調査から、通信料金と端末割賦代金が一体となった料金プランを前提に「iPhone 8(64GB)」を購入したケースでの料金も同様に比較してみたい。

すると、「端末代を含めれば諸外国並み」だった16年度と様相が異なり、東京の価格は諸外国より月額1000円程度高いことが判明した。

ここで指摘したいのは、キャリアが端末値引きを手厚く付けているとみられる「iPhone 8」でさえこの状況だったという点である。値引き額が少ない端末を買えば、上のグラフ以上に諸外国との差が開いてしまう可能性が高い。

端末代金の大半が(通信料から)割引されているように見える東京の料金(出典:総務省「平成29年度 電気通信サービスに係る内外価格差調査」)
MVNOや光回線と比べて極端な価格差が生じた背景は何か、求められる再検証

先週も述べたとおり、サービス内容や品質などその他の条件が各都市によってまちまちであるため、価格だけを切り出した議論は1つの参考指標と捉える必要がある。特に日本のネットワーク品質は世界でもトップレベルと言われており、また災害が多発する国情も考慮が必要だ。

また、サブブランドやMVNOといった選択肢が提供されている現状を踏まえれば、価格に不満があっても利用者が乗り換えれば解決できる話である。

とはいえ、総務省調査でも、MVNOやFTTH(光回線)の価格は諸外国とそれほど大きく差は開いていない。なぜ携帯電話だけここまで極端な差が出ているのか、調査手法に問題がないかも含め、さらなる検証が求められる。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて9月21日に公開された記事となります。
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