米中対立は、国内の携帯基地局市場にも大きな影響を及ぼしている。中国の華為技術(ファーウェイ)の「無線機」排除の動きだ。
携帯基地局は、アンテナや電源など様々な部材から構成されているが、中核装置は無線機である。そこで今回は、華為技術の「無線機」排除の流れが市場に及ぼす影響について考えてみたい。
携帯会社向けに華為技術が「無線機」の供給をスタートさせたのは、イー・アクセスが最初であった。その後、イー・アクセスがソフトバンクに買収されるとソフトバンクとの取引となり、現在は主に1.7GHz、700MHz、3.5GHz帯で華為技術の「無線機」が導入されている。
一方、ソフトバンク向け「無線機」の供給ベンダーでは、エリクソンとノキアが中心で、華為技術はいわば新参者の立場であった。華為技術がソフトバンクのなかで一定の存在感を発揮したのが、2017年度である。新規で割り当てられた3.5GHzや追加発注が多かった700MHz帯で確実に受注を重ねていった結果、同年のソフトバンクの新規基地局の6割弱を華為技術が獲得するまで成長した。
そもそも華為技術の持つ技術力、コスト競争力は世界的に定評があり、5G時代のトップランナーとして注目されている。国内では2019年3月に5G向け周波数の割り当てが行われる予定で、華為技術としては更に飛躍を遂げるチャンスだった。
一方、華為技術の抜けた穴を誰が埋めるのか、という動きも既にはじまっている。先日のトラブルで分が悪いエリクソンを尻目に、新聞報道によればノキアがスワップ(交換)するような話が聞かれる。
ソフトバンクとしては、欧州2社の体制でいいのか、そこにもう1社加えるようなことはないのか。富士通やNECといった国内ベンダー参入の可能性はないのかという声も聞かれるが、技術的にもコスト的にも難しく、実際には選択肢は限られてしまっている。
米中対立の余波は、今後も様々な方面で影響を及ぼしていくこととなりそうだ。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて12月14日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |