1月24日に総務省が「5G基地局の開設計画申請」の受付を開始し、国内での5G商用化に向けた動きが本格化した。
総務省は、計画申請の受付を2月25日で締め切った後、その内容を審査する。電波の割り当ては今年3月末ごろに行われる見通しだ。
通信キャリア各社は、電波割り当てを前提に、9月20日から行われる「ラグビーワールドカップ2019」にてプレサービスを実施すると既に表明している。国内での導入はこの時期からスタートすることになる。また、2020年春頃には商用サービスも開始される見込みとなっている。
遠隔地からの手術や建機操作、自動運転、高精細VRなど、5Gインフラ普及をにらんで様々な新サービスの実証実験が行われているのはご承知の通りだろう。
これらサービスは、5Gの特徴である「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3要素を活用して生み出されている。
ところが、残念ながら2020年春の正式サービス開始直後から3要素全てが利用できる訳ではない点は見落とされがちだ。
フルスペックで5Gの全ての特徴を利用するためには、基地局(無線)側とコアネットワークの両方を5Gに対応させる必要がある。
しかし、2020年春の段階では、コアネットワークについては4Gのものを拡張したNSA(Non Stand Alone)構成が採用される。5G基地局を構築するので無線側は5Gのメリットが得られるが、コア側がボトルネックとなり、メリットも限定的なものになってしまう。
NSA構成では、3要素のうち「超低遅延」と「多数同時接続」の恩恵は得にくいと言われている。ネットワークスライシングなどの技術に対応した5Gコアネットワーク(5GC)に置き換わってはじめて、5Gが本領を発揮できるようになる。5GC導入時期は、現時点ではまだ流動的な状態だ。
期待値が高まる5Gだが、今年あるいは来年にも華々しく新サービスが相次ぎ登場できるほどインフラが整備しきれていない可能性が高いことは、冷静に捉える必要があるだろう。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2月5日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |