
通信キャリア3社の2018年度第3四半期(10~12月期)決算が2月5日までに出揃った。今回から3社の主要数値の動きを比較していきたい。初回は契約数と解約率の動きに焦点を当てる。
2018年12月時点における各社の累計契約数は、NTTドコモが7751.7万(18年9月末比46.7万増)、KDDIが5426.3万(同74.9万増)、ソフトバンクが4372.3万(同37.6万増)となった。第2四半期は純増数でソフトバンクに逆転されたNTTドコモだったが、今四半期は再逆転している。
NTTドコモが純増の勢いを回復させた最大の要因は通信モジュールだ。モジュールだけで32.3万の増加と、同社の純増の約7割を占めていることが分かる。
また、今回着目したいのはソフトバンクのPHSの動向だ。
テレメトリング用途を除き2020年7月末でサービスを停止することもあり、契約数は減少の一途である。ただし、その減少ペースにブレーキがかかったのだ。ここ数年、四半期ごとに10万超の減少が続いていたが、第3四半期は9.3万減にとどまった。残る契約は214.8万となった。
2022年3月末にはKDDIの3G(「CDMA 1X WIN」)サービスが終了することも決まっており、旧世代利用者をいかに巻き取っていくのか、その巧拙が契約数動向に影響を与えそうだ。
通信モジュール契約などを除いた、スマートフォンなどに限った契約数動向では、ソフトバンクが同26.9万増(スマートフォン、タブレット、従来型携帯電話などが対象の「主要回線」数)となり、3社の中で増加幅が一番大きかった。
なお、ソフトバンクは今回の決算から「スマートフォン」契約数の開示をはじめており、12月末時点での累計で2146.4万契約(同37.0万増)となっている。
一方、解約率は安定的に推移している。
各社とも、第2四半期と比較すると解約率は上昇傾向だが、1年前の第3四半期と比べると低下していることが分かる。
特にソフトバンクは昨年末の大規模通信障害を受けて解約率がどのように推移するかに注目が集まっていたが、第3四半期の数字からは顕著な影響は見られなかった。
これから迎える春商戦での状況を引き続き見守りたい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて2月8日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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