1月から2月にかけて発表された通信キャリア3社の2018年度第3四半期(10~12月期)決算をもとに、3社の状況を整理する短期連載。最終回となる今回は販売数について取り上げたい。
3キャリア揃ってマイナスの異常事態となった販売数
上のグラフは、各社が公表している販売数の中から、スマートフォンなどを中心とした数値をもとに前年同期比増減の状況を示したものである。
NTTドコモのスマートフォン販売数は316.3万台(前年同期比26.5万台減)、ソフトバンクの販売数(主要回線)は273.0万件(同21.0万件減)、KDDIのスマートフォン販売台数(パーソナルセグメント)は191.0万台(同30.0万台減)だった。
販売数は各社それぞれ浮き沈みを繰り返しているものの、同じタイミングで3社揃って減少を記録したことは2016年度以降では見受けられない。それが今期は軒並みマイナスに沈んでおり、第3四半期は総崩れに近い状況と言えるだろう。
料金設計如何では端末販売にブレーキがかかる可能性をはらむ通信料金と端末の分離の導入を前にして、販売数に早くも黄信号がともった状態だ。主力端末である「iPhone」の動向だったり、端末買い換えサイクル長期化が影響したりと、第3四半期の数字の背景は様々考えられるが、この減少が一過性のものか否か、これからも定点観測を続けていきたい。
なお、ソフトバンクはスマートフォンに特化した販売数の開示がないため、従来型携帯電話やタブレットなどが含まれる「主要回線」の販売数を取り上げている。他社より対象範囲が広く、販売数自体の単純比較が難しい点は留意いただきたい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて3月1日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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