株式会社MCAは、セルラーキャリアにおけるネットワーク運用・保守の動向を調査を実施し、その結果を「セルラーキャリアにおけるネットワーク運用・保守の現状と今後の展望」として取りまとめた。2回目となる今回は、市場規模について取り上げたい。
MCAでは、セルラーキャリア各社におけるネットワーク運用・保守関連市場として、各社の移動電気通信役務の施設保全費や管理費、通信設備使用料を合算し、市場規模を算出した。
NTTドコモの場合、施設保全費はネットワーク保守運営や端末保守、ネットワーク構築機能、施設保全機能・共通費用から構成され、通信設備使用料が無線基地局回線における他キャリアの通信網利用や相互接続になっている。なお、KDDI(au)とソフトバンクにNTTドコモと同様の区分はないが、これらの費用をネットワーク運用・保守に関わるものと想定した。
2017年度は前年度比1.9%増となる1兆6,272億円になった。品目別では、7,882億円の施設保全費が約50%、通信設備使用料も約40%を占め、両者でネットワーク運用・保守関連市場を二分している。
数値は2017年度までが実績値となり、施設保全費は2015年度に急拡大しているが、これはソフトバンク統合による影響が大きく、約700億円増のうち、ソフトバンクが約500億円を占める。一方、通信設備使用料は2014年度に急拡大し、NTTドコモとKDDI(au)の拡大が影響している。
今後に関しては、施設保全費の微増傾向を見込むが、2022年度に微減と推定した。2022年度は5G NR(SA:Standalone)の導入に伴い、ネットワーク運用の自動化が進むものとみられ、その影響から施設保全費で若干の縮小を見込む。一方、通信設備使用料は5G時代の到来による光ファイバ需要の拡大が見込まれるが、各社は通信設備使用料の高騰を避ける方向にあり、微増と予測した。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて4月5日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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