4月10日、総務省は通信キャリア各社に5G向けの電波割当を行い、いよいよ国内展開の号砲が鳴らされた。本誌でも5Gを活用した様々な実証実験がレポートされているが、その中でも各社が力を入れているのが「パートナーの拡大」だ。
様々な産業分野で5Gを活用してもらうべく、トライアル施設を開設し検証の場を提供している。そこで今回から、キャリア各社のこれまでの取り組みならびに今後の展望について取り上げていきたい。
初回は、ソフトバンク株式会社 先端技術開発本部 先端技術試験課 課長 山田 大輔氏ならびに、担当課長 須田 哲生氏に、同社の施設「5G×IoT Studio」お台場ラボの状況についてお話を伺った。(取材は3月下旬に実施)
また、業種別に5Gのユースケースを想定したデバイスを設置して実際に体感いただけます。一例を挙げると、製造業向けにはロボットアームを用いた遠隔操作のデモを用意しています。そのほか建設業、エンターテインメント業、放送業、小売業など、さまざまな業種向けにデモを置いています。
業種に関係なく、様々な企業が今後の5GやIoTの普及を見据えて動き始めていることの裏返しではないかと感じています。
両者で付加価値の高いサービスを1つでも多く生み出せるよう、1社1社の方々にしっかりと5GやIoTの可能性をご理解いただき、活発に議論できる環境を作っています。
ここまでの対応を行うにはある程度の時間が必要となりますので、お台場ラボへの訪問は1日2社に限定しています。
それよりは、5Gの高速大容量を活用した映像系サービスのような体験できるものが、早期に出てくるのではないでしょうか。
高画質映像をAIで解析すればすぐに次のアクションが起こせると思います。動画に映り込んだ個人の顔にリアルタイムにモザイクをかけて個人情報を保護したり、高速道路上に設置した監視カメラ映像から落下物を検出したり、といった具合に、様々なソリューションが想定されます。
このような利用シーンでは瞬時の処理が要求されますので、AIをインターネット上のクラウドに置いたのではレスポンスに時間がかかってしまいます。そこでコアネットワーク内にクラウドを設置しインタラクティブに動かす枠組みが5Gの1つのカギになってくると思っています。
CADやクラウドゲーミングなど処理に過大な負荷がかかるサービスも、MEC側のコンピューティングリソースで処理を肩代わりできますから、ユーザーの端末スペックに操作性が縛られることも少なくなると思います。
5Gの導入当初は、構成要素のうち高速大容量を活用したサービスがどうしても先行していきます。とはいえ「ネットワークの土管が広くなったね」で終わるのではなく、低遅延・多接続も活かしたサービスが出てくるとさらに高度化するのではないでしょうか。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて4月26日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |