総務省は2019年6月末時点における「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」(以下、総務省データ)を10月8日に公開した。総務省データから、携帯キャリアとMVNOの契約数動向を整理したい。
MVNOのシェアは12.2%まで上昇も、純増数では携帯キャリアを下回る状態が続く
6月末時点での移動系通信の契約数は1億8217万で、3月末時点から172万の増加となった。また、MVNOサービスの契約数は2230万で、全体に占めるMVNOの割合は12.2%となった。
総務省データでは、携帯キャリア(図では「MNO」)とMVNO、それぞれの増減数をグラフで示しており、4~6月期は携帯キャリアが94万増、MVNOが79万増であった。直近1年間の純増数を比べると、携帯キャリアがMVNOを上回る状態が続いている。
通信モジュールを除いた契約数ではMVNOが堅調な伸びをみせる
主として個人向けの契約獲得状況を把握するためには、変動の大きな通信モジュールの影響を除く必要がある。そこで、通信モジュールの動きを除外した純増数を算出しグラフ化したところ、MVNOが78万増と堅調に契約数を増やした一方、携帯キャリアは71万の大幅減に見舞われていたことが分かった。
IoTの進展で今後も通信モジュール回線数は大幅な増加が見込まれるが、一般的にモジュール回線の通信料金は非常に安価のため、契約数の増加と収益が結びつかない傾向にある。今週以降行われる、携帯キャリア各社の上期決算で発表される契約数を確認する際も、通信モジュールによる上乗せ込みかどうかという観点がこれまで以上に重要になってくるだろう。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて10月30日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
総務省データからみる、モバイル市場とMVNO
- 19年6月末:MVNOのシェアは12.2%まで上昇、モジュールを除いた契約数では堅調な伸びに
- 18年9月末:MNO/MVNOのシェア推移から考える今後
- 18年6月末:総務省四半期データから見る、MNOとMVNOの勢いの差
- 18年3月末:MVNOの純増数が横ばいの中で跳ね上がったMNO純増数、その実態は
- 17年6月末:通信キャリアの契約数が5万減? 総務省公表数値から実態を読み解く
- 17年3月末:携帯・PHS純増数に占めるMVNOの割合は約半数、SIMカード型MVNOのシェアにも言及
- 16年12月末:携帯・PHS純増数に占めるMVNOの割合はおおむね半数超を維持、MVNO事業者数は668に拡大
- 16年3月末:携帯・PHS純増数に占めるMVNOの割合、2015年度は約6割に達する
- 15年12月末:MVNO契約数、2015年後半以降に純増ペースが加速
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