MCAでは、不要となった携帯端末の下取りと中古携帯端末の利用に関する消費者の意向を探るため、携帯電話・スマートフォンの利用者に対してネットアンケート調査を行った。その結果を2回にわたり取り上げたい。まず1回目は「下取り」に焦点を当てる。
使わなくなった端末の「下取り」、携帯利用者の半数以上が検討の意向示す
スマートフォン・携帯電話を買い替えた際、不要になった端末の下取りを検討するかたずねたところ「検討すると思う」は27.8%、「多少検討すると思う」は29.4%となった。全体の6割弱が検討に前向きな意向を示している。
下取りに前向きな意向を示した回答者に対しては、下取り方法の意向もあわせてたずねている。下のグラフのとおり、「通信会社のショップ店頭で」が7割近くと、他の選択肢を圧倒する結果となった。
キャリア下取り端末はほぼ全量が仲介事業者等に売却されているものの...
多くのユーザーが下取り先に挙げた「通信会社のショップ店頭」だが、では店頭で回収された端末はどのように処理されているのだろうか。その答えは、10月1日に総務省と公正取引委員会が公表した流通実態に関する調査に明示されている。
出典:総務省・公正取引委員会「中古携帯電話端末の流通実態に関する調査の結果」。赤字は、報告書の注釈に記載されている「2018年のMNO3社の入手台数/売却台数」をMCAが転記。
調査によれば、上の図の通り下取りされた端末はほぼ全量が仲介事業者等に売却されているとの結果が出ている。その数は、2018年だけで640万台に上っている。これだけのボリュームであれば国内の中古端末市場が盛り上がってもよさそうだが、実際のところ「仲介事業者は購入した中古端末の多くを海外に売却している状況」(同調査結果より)で、国内市場にはほとんど還流されていないのが実情だ。市場関係者によれば、国内で販売するより、海外で捌いた方が高値だからこのような流通経路になっているという。
次回は、国内市場の成長の鍵を握る、消費者の中古端末利用意向について取り上げたい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて11月6日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
関連記事
- 参考資料:中古携帯端末の利用、不要端末の下取りに関する消費者意向調査
- 参考資料:携帯ユーザーの端末選好、乗り換え、利用実態に関する消費者調査
- 参考資料:携帯・スマートフォンの中古端末市場動向2015
- 4人に1人が、買い替え検討時に「中古端末」を候補に含める意向示す
- 使わなくなった携帯端末の「下取り」、利用者の半数以上が検討の意向示す
- 活性化に期待が掛かる中古端末、流通量が増えない背景を探る
- 整備済品やレンタルなど、広がる「iPhone」購入の選択肢
- 業界団体設立で拡大に期待がかかる中古携帯端末市場の現状
- 端末修理事業の現状と業界団体が果たす役割
- 総務省タスクフォースに盛り込まれた「中古端末市場の発展」、その可能性を探る
- 中古端末購入者が購入した端末の「種類」
モバイル業界スナップショット