いよいよ5Gサービス商用化が、今年春からスタートする。サービスを提供する携帯各社では、これまで5Gのビジネスモデル構築へ向け、様々な企業や自治体、公共機関との共創に取り組んできた。
携帯電話の新たな世代交代(例:3G→4G)の際に、このような他社との連携を図ることは初めてである。それくらい5Gのポテンシャルは高く、スマートフォンなど人以外へ広がる社会インフラになると期待されているからに他ならない。
今回は、携帯各社が5G商用化へ向け、これまで他社との共創について、どのように取り組んできたかについて、間もなく弊社から発刊される「第5世代移動通信 技術・設備投資動向・関連産業サービス開発動向 2020年版」からデータを一部抜粋してお伝えしたい。
上図は、携帯各社の5G商用化へ向けた取り組みについて、分類したものである。NTTドコモの方向性は3,000社以上のパートナーを集めるなど、幅広い業界とのサービス協創によりソリューションの品揃え(既に完成済みのパズル)を充実させ、顧客の選択肢を増やしていくという「パッケージ思考」にある。
これに対して、数ではなく特定の顧客の課題に対してカスタマイズによって、価値(各異なるパズルを組み合わせ)を提供しようとしているのがKDDIだ。IoTによるデータ収集からAI分析で新しい価値提案を法人と個人間のサービスに活かすリカーリングモデル(循環型)をビジネスとして掲げている。
一方、ソフトバンクは事業専用プラットフォーム(パズルを入れる箱を作成、需要のある適切なサービスを提供)を構築し、法人/個人に利用させ、よりデータを利活用させる方向にその技術を活かそうとしている。IoT事業(車も含む)、AI事業に特に力を入れており、データ収集、AI分析(MECサーバー利用など)結果を活用するビジネスを描く。
そして楽天は、プラットフォームの中でも自社の楽天エコシステムのサービスポートフォリオ(自分の持っている赤いパズル)と5G連携(サービス組合せ)を志向している。楽天トラベル、楽天市場、野球、サッカーやVR/AR技術などとの相性の高さを活かしたサービス創出の一方で、仮想化基盤のメリットを活かした他社との連携を推進してくるものと考えられる。
携帯各社の5G戦略は、まさにこうしたビジネスモデル構築へ向けた取り組みの違いが、その後の競争力に直結していくことになるだろう。各社5G商用化へ向けての準備は、最終段階を迎えている。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて1月21日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |