通信キャリア各社の2019年度通期決算が5月中旬までに出揃った。そこで2回にわたり、各社の主要数値の動きを比較していく。初回は契約数の動向を整理したい。
2020年3月末時点における各社の累計契約数は、NTTドコモが8032.6万、KDDIが5864.3万、ソフトバンクが4577.8万だった。2020年1~3月期の純増幅は各社60万前後に集中している。偶然だが、1年前の2019年1~3月期も3社がほぼ横並びだった。
19年度通期での純増数は、KDDIが341.8万、NTTドコモが187.3万、ソフトバンクが124.2万で、契約数全体としては各社とも増加傾向が続いている。
次に、純増数の中身に踏み込むため、通信モジュール契約などの影響を除いたスマートフォンを中心とした契約数を取りまとめた。
すると、NTTドコモとKDDIがそろって純減に落ち込み、さきほどの「横並び」から大きく異なる結果となった。
これは、2社の契約純増が通信モジュールの伸びに支えられていたことの裏返しと言える。実際、通信モジュール(IoT回線)の純増数は、NTTドコモが187.3万、KDDIが350万と非常に大きい。一方、ソフトバンクは7.5万の減少と対照的だ。
なお、本記事では各社が開示する数値をもとに状況を整理したが、契約数の定義が異なっている点には留意いただきたい。ソフトバンクの契約数には「ソフトバンク」ブランドの数字だけでなく、「Y!mobile」と「LINEモバイル」の純増も含まれている。一方、KDDIの場合「UQ mobile」や「BIGLOBEモバイル」など連結子会社が提供しているMVNO回線数は「au累計契約数」とは別枠の「MVNO契約数」として開示されており、契約数グラフには含まれていない。UQ mobile事業は今年10月にKDDIが承継することが発表されており、今後はより比較しやすい形での開示になることを期待したい。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて5月29日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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