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曲がり角を迎える販売代理店業界

携帯電話のキャリアショップの業界で、数少ないメーカー系代理店として残っていた富士通パーソナルズが業界差大手のティーガイア(住友商事系)に286億円で売却(11月2日付け)することが明らかになった。

今回は、再編が進む販売代理店業界について取り上げてみたい。

この10年あまりの間にパナソニックや日立は伊藤忠系のコネクシオに、三洋やカルソニックはティーガイア、三菱系のダイヤモンドテレコムは兼松コミュニケーションへ、そしてNECもバイリングは丸紅系のMXモバイリングへと吸収されるなど、再編の大きな流れの1つは商社系代理店によるメーカー系代理店の買収である。キャリアショップだけでなく、端末の保守機能はメーカー系代理店の特徴の1つだった。

一方、量販店では業界全体の再編が加速するなかで、ビックカメラ(ラネット)によるネオモバイル買収や、ノジマはオリンパス系だったITXやケンウッド・ジオピットといったメーカー系を買収した。

そして、代理店業界で存在感が大きいのが光通信だろう。京王ズやFTコミュニケーションズといった地方系だけなく、ソフトバンク系大手代理店のベルパークや業界最大手のティーガイアにも出資を行っている。

図:携帯電話の販売代理店業界の構図 出典:MCA

弊社「キャリアショップの展開状況と店舗一覧 2020秋」によれば、4キャリア(ワイモバイル、UQを含む6ブランド)が展開するキャリアショップは、全国に8063店舗存在しているが、これらのほとんどが、上記にあるような「商社系」「メーカー系」、そして「地場系」「量販系」と呼ばれる販売代理店によって運営されている。

販売代理店の収益源は、端末販売ごとに受け取る「端末の販売手数料」、契約者が支払う月額料金の一部を受け取る「継続手数料」、そしてアフター対応などの「業務手数料」であるが、ここ最近代理店の経営に打撃を与えているのが端末販売量の減少による販売手数料の減収である。

2019年10月よりスタートした新制度によって、端末割引が2万円までに制限されたこと、そしてコロナによる営業自粛の影響などを受け、販売代理店のショップ事業は曲がり角を迎えている。

今回の菅総理による携帯料金引き下げは、その程度にもよるだろうが、携帯会社の経営体力に大きな影響を及ぼす可能性もある。そうなると、携帯会社の委託によって成り立っている販売代理店にとっては、死活問題である。

改めて、販売代理店の経営力が問われることになっていくのではないだろうか。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて10月24日に公開された記事となります。
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