通信キャリア各社の2020年度第2四半期決算から、各社の主要数値の動きを比較しているが、今回は契約数と端末販売に焦点を当てたい。
解約率の抑制トレンドは今期も継続
2020年7~9月期の解約率は、NTTドコモ(ハンドセット)が0.42%(前年同期比-0.04ポイント)、KDDIが0.62%(同-0.15ポイント)、ソフトバンク(スマートフォン)が0.64%(同-0.10ポイント)だった。ここのところ、3社揃って解約率の抑制トレンドが続いているが、今期も同様の状況となっている。
「1契約あたり収入」のトレンドは三社三様、その背景は
続いて、1契約あたり収入の動きを見てみよう。
まず、1契約『数』あたりの収入を示すARPUを開示している2社の今期は、NTTドコモの総合ARPUが4820円(前年同期比80円増)、ソフトバンクの主要回線総合ARPUが4300円(同150円減)だった。
最後に、1契約『者』あたりの収入を示すARPAを開示しているKDDIの状況は、8110円(同340円増)だった。
このように、NTTドコモとKDDIが増加、ソフトバンクが減少と、まちまちの結果となった。
減少傾向にあるソフトバンクは、比較的安価なY!mobileやLINEモバイルの契約数増加がARPAの下押し要因となっている。また、同社のARPUには移動通信以外の収入、例えば「SoftBank光」などの数値が含まれていないことも影響している。
一方、KDDIの数値が増加しているのは、ARPAに含まれる「auでんき」の拡大が上乗せされている点が大きい。「auでんきARPA」は前年同期比170円増の860円で、増加分の半分をauでんきが生み出している計算となる。
計算の前提となる「収入」に、サブブランドやサービスなど、何が含まれているかが異なることが、各社の傾向の差として出てきたといえるだろう。
本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて11月21日に公開された記事となります。 最新記事や過去の掲載分は「DATAで見るケータイ業界」もあわせてご覧下さい。 |
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