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激変するモバイル市場、携帯販売代理店の業績に与えた影響は

法改正、コロナ禍、さらには通信料金値下げ要請など、モバイル市場は文字通り「激変」している。そこで、販売の最前線を担うキャリアショップを展開する携帯販売代理店の業績から、その影響について見ていきたい。

激変するモバイル市場、携帯販売代理店の業績に与えた影響は

各社とも、法人向け事業や決済事業など多角化を進めており、会社全体の売上ではモバイル事業の動向は見えにくい。そこで、各社が開示するセグメント売上の中から、主にキャリアショップ運営事業や個人向けモバイル事業の数字をグラフ化した。

2020年度第2四半期の数字は、ティーガイアのモバイル事業が770.0億円(前年同期比27.1%減)、ノジマのキャリアショップ運営事業が436.3億円(同17.6%減)、コネクシオのコンシューマ事業が404.0億円(同13.9%減)、光通信の取次販売が398.9億円(同18.0%減)と、軒並み大幅減に見舞われている。

今期の数字がコロナ禍の影響で伸び悩んだことと、前期は法改正および消費増税直前で駆け込み需要があったことのダブルパンチが業績に大きな影響を与えている。

また「iPhone 12」シリーズの発売時期が10月にずれ込んだことも、7~9月期の数字にはマイナス要因となっている。

その他の要因として、「携帯電話端末の平均販売価格が下がった」(ティーガイア)、「来店予約を前提とした運営のため、キャリアショップへの来店客数が減少傾向」(コネクシオ)との指摘も見られた。

他方、通信事業者のコロナ対策特別支援や、周辺商材・サービスの注力販売、販管費の抑制などもあり、セグメント利益は売上ほど落ち込んでいない点もあわせて指摘したい。

今後だが、発売がずれこんだ「iPhone 12」の数字上乗せや、店舗の通常営業への回復などが期待される。ただし、販売台数や販売単価の下落に加え、キャリアによるオンラインショップ強化など、店舗を取り巻く環境は依然として厳しいのも事実だ。以前の本コーナーでも解説(https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/mca/1284363.html)したとおり、販売代理店業界は大きな曲がり角を迎えている。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて12月5日に公開された記事となります。
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