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総務省四半期データから浮かび上がる、MVNOの成長鈍化

総務省は2020年9月末時点における「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」(以下、総務省データ)を昨年12月18日に公表した。

これまで拡大を続けてきたMVNOのシェア、ついに横ばいに

9月末時点での移動系通信の契約数は1億9049万(前年比3.9%増)、そのうちMVNOの契約数は2560万(同11.2%増)となった。

MVNO契約数の増加率は依然として二桁台と高水準を維持しているものの、相対的な鈍化傾向も見てとれる。MVNOのシェアはこれまで堅調に拡大してきたが、今期は初めて横ばいにとどまった。

(出典:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」)

一歩踏み込んで、スマートフォンやタブレットなどを中心とした契約獲得状況を明らかにすべく、機器等に組み込まれる通信モジュールの契約数動向を除外してみたところ、こちらも2四半期連続でMNOを下回る結果となった。

鈍化の背景には、MVNOとしての楽天モバイルがゆるやかに契約数を減らしている特殊事情がある。直近の半年間で契約数を40万程度減らしたとみられ、MNOへの巻き取り等で当面はこの状況が続くと考えられる。

これに加え、MNOによる相次ぐ料金値下げによって、MVNOの価格面での訴求力が薄れる構造的な問題も生じている。

13日に行われたKDDIの新料金発表会については、オンライン専用の新ブランド「povo」創設が注目されているが、auとUQ mobileの既存ブランドも値下げに踏み切っている。特にUQ mobileは、MVNO並みの踏み込んだ価格設定となっている。

メインブランドと同等の通信品質で利用でき、「UQスポット」をはじめとする店舗によるサポートが受けられるにもかかわらず、MVNOと横並びの価格で契約できるプランが出てきたことは、MVNOにとっては大きな脅威となろう。

モバイル市場の競争促進の観点から一定の役割を果たしてきたMVNOだが、MNOによる"官製値下げ"が与える影響は極めて甚大だろう。接続料の引き下げなどMVNOを支援する施策も検討されているが、公平な競争環境維持に向けた行政側のさらなる取り組みが待たれるところだ。

本記事は、株式会社インプレス「ケータイWatch」内で弊社が執筆を担当している連載「DATAで見るケータイ業界」にて1月19日に公開された記事となります。
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